うずら13日胚由来細胞の培養&継代
最近の実験のようすをお伝えします。
前回培養した細胞ですが、顕微鏡の都合上、ディッシュのかさ高さによりピントが上手く合わず…。
でも細胞がいる感じはします。
という訳で、薄い小さめのディッシュ(30mm)を使って、うずら細胞の培養をやり直すことにしました。
うずら13日胚より脚部分の組織片を採取し、1000μl PBSで懸濁、扇風機遠心を経て上清と沈殿物に分離したのち、上清部分200μlを加えた30mmディッシュを2枚作成しました。
一方のディッシュには3mlのDMEM(10%FBS)を、もう一方のディッシュには、DMEM(10%FBS)の6割をGREEN DA・KA・RAで置き換えたものを3ml加えました。
「えっ?」と思われる方かほとんどだと思われますが、培地成分であるDMEMの組成はスポーツドリンクに近く、先行実験により、スポーツドリンクの中でも特にGREEN DA・KA・RAが細胞の生育に適していることが分かっていました。ただし、当然完全に通常の培養液と成分が同じというわけではないため、通常の培養液の6割は代替できるというのが先行実験の結果でした。
このような背景から、今回の実験でもこの先行実験を踏襲し、上記の2種類の培地で培養を試みました。
また、沈殿物についてもピペッティングにより懸濁後、懸濁液200μlを加えた30mmディッシュを同じく2枚作成し、上記の2つの培養液をそれぞれ加えました。
(GREEN DA・KA・RA入りの培地は、比較的黄色になりました。)
37℃、カルチャーパル&重曹水でCOでを発生させたインキュベーター内で培養を開始しました。
以下、3日目の様子です。
上清_DMEM(10%FBS)
上清_60%GREEN DA・KA・RA代替
懸濁液_DMEM(10%FBS)
懸濁液_60%GREEN DA・KA・RA代替
しっかり張りついていました!
60%GREEN DA・KA・RA代替の方は、気持ち細胞の数が少ないように思えました。
以下、培養6日目です。
上清_DMEM(10%FBS)
上清_60%GREEN DA・KA・RA代替
懸濁液_DMEM(10%FBS)
懸濁液_60%GREEN DA・KA・RA代替
うずら有精卵由来細胞の培養
前回更新から大分あいだが空いてしまいました(…反省)
最近の活動を報告します。
5月中旬より、孵化用装置を用いてうずらの有精卵を温めていました。
孵化用装置、うずら有精卵は、どちらもAmazonで購入しました。
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11日間温めたうずらの有精卵から得られた胚より、細胞(組織片)を取り出し、シャーレで培養する実験を行いました。
今回は、温めていた有精卵4つをシャーレに割卵し、発生が進行しているか確認しました。
結果は、4つ中2つは正常発生、1つは未成熟、もう1つはおそらくそもそも無精卵でした。
正常に発生していた2つより、細胞(組織片)を取り出しました。
PBSで懸濁後、遠心分離しました。
…そうです。扇風機です。
MTRL KYOTOのTさんのご協力のもと、扇風機をお借りして即席遠心分離機を作成しました(扇風機自体は結構高価!?なやつだったので、壊しはしないかおどろおどろしながら遠心していました笑)
遠心後、組織片を含まないように液を取り出し、シャーレに培養液と共に加えました。
最後にCO2カルチャーパル入りインキュベーターにシャーレを入れました。
後日細胞の貼り付き具合を報告します。
設備の紹介&ニワトリ10日胚の解剖&細胞播種
昨日(4月20日(金))の実験の様子をお伝えします。
【目的】
ニワトリの胚から取り出した細胞が培養できるか、とりあえずチェックする。
【手順】
ニワトリの有精卵4個を自宅で10日間温めていました。
使用した有精卵はAmazonでポチった以下のものを使用しました。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00P4P3VP2/ref=oh_aui_detailpage_o01_s00?ie=UTF8&psc=1
卵を温めるのにもちいた孵化器は以下のものを購入・使用しています。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B06XKQSG7X/ref=oh_aui_detailpage_o07_s00?ie=UTF8&psc=1
10日間温めていた間は一日2~3回、約6時間おきに卵をひっくり返す作業(転卵)を行いました。(実際には、日中不在のため、9時間ほど空いてしまった時もありました。)
昨日は夕方、温めた卵4つを新聞紙で包んで、大事にMTRL KYOTOの実験スペースまで運びました。
…実験スペースの紹介がまだでした。
実験スペースは、京都にあるMTRL KYOTOさんの2階に私どもが作成した実験スペースを使用しています。
MTRL KYOTOの情報はこちら
実際の実験スペースはこちら
…「あれは何だ⁉」と聞きたくなるものがたくさんあると思いますが、設備の詳細はまた後日お伝えします。
さて、実験スペースに運び込んだ4つの卵ですが、いずれも70%エタノールで表面を除菌したのち、クリーンベンチ内の無菌環境でシャーレに割卵しました。以下はそのうちの2つの様子です。
割卵してみた所、4つのうち3つは大きさ1cmほどの胚が確認できましたが、1つは確認できませんでした。確認できなかった1つの卵については、孵化器の温風排出口の比較的近くにあったためであったからではないかと考えられます。以下はみられた胚の1つです。
先にインキュベーター内で37℃に温めておいたPBS(緩衝液)を5cmシャーレに加えて、その中に胚を移しました。胚を先の鋭利なピンセットで割けるだけ割いて、得た組織片を200µlのコラゲナーゼ溶液が入った1.5mlチューブの中に移しました。チューブをデコピン×30回して組織片を細かくしたのち、37℃のインキュベーター内に約5分間放置しました。
(※使用しているインキュベーターは以下のものです。
)
5分後、チューブから100µlを取り出し5cmシャーレに移し、その上に5mlの培養液(DMEM+10%FBS)を加えて、上下左右にゆすって細胞を均一に拡散しました。
同じような操作をあと5回行うことで、100µl細胞懸濁液+5ml培養液の入った5mlシャーレをあと5枚作成しました。これらを蒸留水+CO2カルチャーパルの入った容器に入れて、インキュベーター内に入れました。
4月23日(月)に細胞をチェックします。